アパート経営に興味のある方♪ 賢く土地活用!賃貸住宅と相続税対策
いつもとは少し違ったテーマになりますが、屋根を塗り替えたり、葺き替えたりをお考えの方の中にも、相続などの理由で、土地のオーナーになられる方、もしくは土地を相続することになる、なった方もいらっしゃるかと思います。そこで、今日は土地活用に関係のある税金のお話です。
土地の相続税評価と実勢価格との差が縮まった
土地活用の中で、最もポピュラーなのは賃貸住宅経営ではないでしょうか?土地の相続時などに、「賃貸住宅を建てると土地の相続税対策になる」といわれますが、その理由などをご紹介します。
かつて土地の相続税評価額(路線価または固定資産税評価に一定倍率を乗じたもの)は、実勢価格の半額程度と低いものでした。しかし、相続税評価額と、実勢価格の差がなくなってきました。平成4年から実施された新土地税制によって、相続税評価額を国土交通省が決めている地価公示価格(簡単にいうと、その土地の適正な価格がいくらなのかという客観的な目安)の80%を目標に引き上げているからです。地価公示は下落が続き、ここへきてようやく反転の兆しが見えてきましたが、実勢価格の値下がりは、公示を上回るケースがあるので、今後もこの傾向は続くものとみられます。
賃貸住宅を建てるとなぜ有利なの?
土地オーナーとしては頭の痛い状況が続きますが、何らかの対策を立てなければなりません。土地を相続人にどうやってスムーズに分割しようか、納税資金の調達方法はどうしようか…。そこで賃貸住宅経営が有力な相続税対策となっているのです。
未利用地などに賃貸住宅を建てると、相続税評価額が下がるので、相続税の減税効果があります。
また、住宅用地として利用するわけですから、固定資産税・都市計画税も大幅に下がり、さらに固定資産税等を必要経費に計上できる利点もあります。
土地の評価が20%前後低くなる
賃貸住宅などの賃貸事業に使われている土地は、借地人の権利などが考慮され、「貸家建付地」として相続評価が20%前後低くなります。
土地には、それぞれ国税局が「借地権割合」というものを決めています。路線価図などに、A,B,C…と表示されており、Aは借地権割合が90%、Bは80%、Cは…となっています。商業地ほどその割合が高く、住宅地は低くなっています。
「貸家建付地」とは、この借地権割合に借家権割合30%を乗じた割合を控除するものです。
例えば、借地権割合が60%の土地であれば、60%×30%で18%、70%の土地であれば70%×30%で21%評価が下がります。
小規模宅地等の特例で200㎡以下には50%減額も!
さらに、賃貸住宅の場合、敷地の内200㎡以下の部分については、「小規模宅地等の評価の特例」により、「50%の減額」が適用されるケースもあります。
この50%減税は、賃貸住宅の場合、敷地であれば、経営が事業的規模の場合に適用できます。(事業的規模とは、アパート経営では貸与することのできる独立した室数が概ね10室以上、一戸建ての貸付については、概ね5棟以上とされています。※例外もあります。)
なお、この特例は相続財産すべての土地のうち200㎡までが対象で、賃貸用以外の事業用用地と居住用(マイホーム)の一定面積までの敷地にも適用があります。また、それらのうち一定のケースでは80%の減額となっています。小規模宅地の評価額は面積の上限が定められていますので、より高い減税効果を得られるために居住用の減額などに全部使ってしまうと、賃貸住宅敷地部分の減額は使えません。
税制改正で適用が厳しく
小規模宅地の評価減の特例が、相続人の土地の利用時実態に合わせて厳格に適用されています。具体的には次のとおりです。①申告期限までに事業や居住を継続していない場合には、80%評価減または50%評価減ができません。②共有で相続した土地でも、事業に関係しない・居住しない相続人の持分には評価減の適用はできません。③一部居住用の一棟の建物の敷地でも、不動産貸付部分には80%減ではなく50%減の適用となります。④被相続人の居住用宅地が複数ある場合、適用は下記のどれか1つとなります。
①事業用で事業継続:上限面積400㎡で、80%軽減
②事業用で不動産貸付:上限面積200㎡で、50%軽減
③居住用で居住継続:330㎡で、80%軽減
建物は評価が下がる
賃貸住宅の建物の相続税評価は、固定資産税評価額から借家権割合30%を減税した金額となります。
例えば・・・
・地価公示価格2億円、路線価1億6,000万円の遊休地に、建設費1億円の賃貸住宅を100%ローン利用で建てたとします。どのくらい評価が下がるでしょうか?
★遊休地のままにしておいた場合・・・相続税の課税価格 1億6,000万円
★賃貸住宅を建てた場合・・・・・・・相続税の課税価格 7,320万円
①土地の評価 1億6,000万円-(1億6000万円×借地権割合60%×借地権割合30%)=1億3,120万円
②建物の評価 (建設費1億円の建物の固定資産税評価額を6,000万円と仮定)
6,000万円ー(6,000万円×30%)=4,200万円
③課税価格 ①+②-ローン残高
1億3,120万円+4,200万円ー1億円=7,320万円
1億6,000万円ー7,320万円=8,680万円
このように、賃貸住宅を建てると遊休地のままにしておく場合に比べ、相続税の課税価格は8,680万円も低くなります。仮に相続税率が30%と仮定すると、およそ2,600万円も相続税が節税できます。