今回の工事現場では、屋根上に長府製作所の太陽熱温水器「エコワイター」が設置されていました。
太陽熱温水器(長府のエコワイター)は太陽の熱エネルギーを利用してお湯を沸かすシステムで、光熱費の節約に効果的なため、かつて多くの一般住宅に普及した設備です。
しかし、設置から長い年月が経つと機器の老朽化が進み、メンテナンスや修理コストがかさむようになります。
また、太陽熱温水器は重量物であるため、屋根への負担が大きくなります。
機器の重さが常に屋根にかかり続けることで、瓦や下地へのダメージが蓄積しやすくなります。
現場調査を行ったところ、棟部分の漆喰に広範囲にわたるひび割れと剥がれが確認されました。
棟瓦の積み上げ部分を支えている漆喰が浮き上がり、一部は大きく欠落していました。
瓦屋根の棟(むね)部分には、瓦と瓦の隙間を埋めたり棟瓦を固定したりするために「漆喰(しっくい)」が使われています。
漆喰はもともと石灰を主成分とした材料で、防水・接着の役割を担う非常に重要な素材です。
しかし年月とともに紫外線・雨・風・寒暖差などの影響を受け、少しずつ劣化が進んでいきます。
漆喰が劣化すると、まず表面に細かなひび割れが生じます。
最初は見た目だけの問題のように感じられますが、ひびが入ることで雨水が内部に浸透しやすくなり、劣化が急速に進行してしまいます。
やがてひびは大きくなり、漆喰が浮き上がって剥がれ落ちるようになります。
また、漆喰が劣化した状態では棟瓦の固定力が失われていきます。
固定力が低下した棟瓦は地震や台風などの外力によって動きやすくなり、最悪の場合は棟全体が崩壊することもあります。